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2022年5月12日

臨床試験の法改正案に関する英国の協議

執筆者Anna Cesar ‐ EMEA規制コンプライアンス担当マネージャー

英国医薬品医療製品規制庁 (MHRA) は1月17日から3月14日まで、英国における臨床試験の規制に関する10件の改正案について協議を行いました。この改正案は現在のヒト用医薬品(臨床試験)に関する規制を改訂するために提案されたものです。

現在は、2004年 ヒト用医薬品(臨床試験)規則は、EU臨床試験指令 2001/20/EC の要件を英国の法令として適用させたものですが、2022年1月31日にEU臨床試験規則(EU Regulation 31/2025)が施工されたため、この指令は2025年1月31日付で効力を失います。

改正案は、主に臨床試験および臨床試験(治験薬「IMP」)で使われる医薬品にまつわるもので、以下の項目に重点が置かれています。

1. 患者および一般市民の参加

参加者の保護が法律の焦点となるよう、研究のデザイン・開発において、関連性の高い生きた経験を持つ人々に参加してもらうことで、臨床試験の質および参加者との関連性を向上させることにつながる。

2. 研究の透明性

国際的な基準に従い、臨床試験の開始前に世界保健機関に準拠した公的な登録に治験を登録し、臨床試験終了後12か月以内に試験結果を公表し、参加者にも共有することを定めた要件。

3. 臨床試験の承認手順

現行の手続きと比較して全体的な治験承認までのタイムラインを短縮する、より簡素化・合理化された手続きの改正案で、優位性のあるメリットをもたらし、スポンサーによる英国内での臨床試験実施を促進することを定めたもの。

4. 研究倫理審査

倫理審査委員会の構成に関する要件の合理化、現行の細かい要件の削除、臨床試験の集団(妊娠中および/または授乳中の個人などを含む、十分な医療を受けていない集団など)の多様性を支持する法的要件を定めたもの。

5. クラスター治験における同意説明

この改正案は、低介入臨床試験の参加者に対する同意説明の簡素化し、同タイプの研究への参加者の拡大を図るために提案されたもの。

6. 安全性の報告

重複しているか、一般的に有用でないと考えられる報告要件の削除を提案。

7. 臨床試験における好ましい慣行

現行のGCP原則について、柔軟性を保ち、幅広い臨床試験(重要な品質要素の特定、リスクの比例性、治験のデザイン・実施に関するより効率的なアプローチなどを含む)に適用できるよう更新されることを提案したもの。

8. 制裁および是正措置

法令に対する著しい違反に基づく新規臨床試験を規制当局が承認拒否する権利および、臨床試験の一部(リクルート、投与、特定の試験の被験者、または特定の治験実施)のみを終了できる権利を提案するもの。

9. 製造および組み立て

主な改正点は、いわゆる「非治験用医薬品」の概念において、現在規制されていない非医薬品(非医薬品である「試薬」など)にも適用できるようにし、診断用IMPに使われる放射性医薬品の調合が病院、医療センター、診療所で行われる場合、IMP(MIA (IMP))に対するメーカーからの承認を受ける必要性を排除するもの。

10. 定義およびその他の用語

国際的な調和を促すために、主に多くの定義や用語を更新することを目的として提案。

提案を審査するにあたり、これらの改正案は、ヘルスケア産業にとって英国が魅力的な臨床試験実施国となるよう目的とされていることが明確です。

2年前に英国がEUから正式に離脱してから現在に至るまで、ブレグジットの影響と国を跨ぐことについて新たに追加された条項は、臨床試験とそのスポンサーにとって負担となっていることは明らかです。

臨床試験に関する法令を新たに制定することは、スポンサーにとってより合理的かつ柔軟なプロセスが実現することを意味します。新たな試験の承認までの期間も大幅に短縮されることが見込まれます。

協議の結果はMHRAにより審査されますが、最終決定の日付は未定となっています。

ご質問等がありましたら、マーケンのチーム(tradecompliance@marken.com)までお問い合わせいただくか、あるいはこちらで参照元資料をご覧ください。

参照元:MHRA - 臨床試験の法改正案に関する英国の協議

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