ニュースと最新情報
臨床試験サプライチェーンにおける復元力の取り入れ
執筆者:Nina Vas | 臨床配送、細胞・遺伝子治療サプライチェーン担当バイスプレジデント
2020年1月以降、世界的なパンデミックの最中にあって臨床試験のエコシステムは急速な勢いで進化し、臨床試験の完全性や患者様のケアと安全性を損なうような障害にも対処できるようになりました。国境封鎖、航空交通量の減少、フライトの遅延やキャンセルによってグローバルな流通が中断されたことで、施設や患者様に治験薬と治療を遅延なく確実に配送するためには、柔軟なロジスティクスとサプライチェーンが必要であることが浮き彫りになりました。
この数か月間、業界は、サプライチェーンの回復性を向上させるために、臨床試験の配送モデルにもたらされた変化を目の当たりにしてきました。臨床試験のサプライチェーンの多くは、「患者様への治験薬直接お届け(DTP)」モデルと在宅医療サービスを採用し、通院の負担、感染リスクの高い患者様集団、施設のキャンセル、対面の診察時の遅延などに対処しています。臨床試験に対する患者様のエンゲージメントが継続的に発展するにつれ、臨床試験の治験責任医師の34~52パーセントは、新しい治験施設、オンラインでの患者様の募集、在宅看護、DTP臨床試験サプライなどの分散型臨床試験のアプローチが増加することを期待しています。¹
スポンサーと治験責任医師におけるこの傾向は、臨床サプライチェーンの戦略の範囲を拡大させています。そのため、必要に応じて、製品、患者様、環境のニーズに合わせて戦略を変更する能力を駆使することが、中断の可能性を迅速に回避することに繋がります。この不透明な世の中で回復性を備えるために、製薬企業やバイオ医薬品企業は、臨床サプライチェーンソリューションを提供する企業と提携し、DTPソリューションと最先端の倉庫(デポ)ネットワークを兼ね備えた柔軟性の高い分散型臨床試験戦略を採用することが推奨されます。このような提携により、臨床試験のプロセスにわたり、潜在的なリスクを特定することも可能になります。
進化する臨床試験のエコシステムを助ける柔軟な配送ネットワーク
具体的には、国境閉鎖や民間航空機の運航削減など、直面している課題に対処するためにグローバルネットワークと提携すれば、温度設定済みの梱包ソリューションや臨床試験関連製品・機器を世界中の遠隔地にある治験施設や患者様にお届けすることができるようになります。
パンデミックの始まり以降、マーケンは、臨床試験エコシステムにわたり、緊急輸送経路の設置、配送の監視、不測の事態に対する措置の確立において主要な役割を果たしてきました。マーケンは、UPSヘルスケアネットワークの強みと配送範囲を活かし、民間の国際線の運航が停止されている最中に、航空機で治験薬を配送することを実現しました。マーケンとUPSのネットワークの強みは、倉庫(デポ)をシームレスなサプライチェーンの一部に組み込み、保管されている臨床試験資材や医薬品を、中断のリスクを軽減しながら迅速に配送できることです。そのため、必要に応じて、戦略を中期臨床試験に移行する能力を高めることに繋がっています。
治験施設の一時閉鎖や、隔離ガイドラインにともなう患者様の予約変更により、多くの臨床試験が分散型アプローチを必要としています。このアプローチには、必要なときに資材や治験薬を確実に入手できるよう、地域ごとに倉庫(デポ)を開設する戦略も含まれています。DTPを扱う分散型配送は、サプライチェーン戦略の範囲を拡大させています。
パンデミック以前、DTPは、患者様に製剤を配送して通院回数を減らすことで、臨床試験の参加者の負担を軽減するという患者様中心の戦略として策定されましたが、2019年11月の分析では、仮想試験が自社ポートフォリオの主な構成要素になると予想する企業は40パーセントにも満たなかったことが分かっています。1 現在、企業は、臨床用製品を在宅の患者様に配送するという課題に直面しており、進行中の臨床試験や研究から患者様が離れることを防ぐために、DTPソリューションを取り入れることが必要になると考えられています。
マーケンでは、臨床試験の設定時にDTPをプロトコルに追加して、俊敏性を高め、必要なときに実践できるようにすることを製薬企業にアドバイスしています。EMEA、アジア太平洋、米国、ラテンアメリカの80か国以上で訓練を受けたマーケンのプロジェクト管理およびオペレーションチームは、DTPソリューションの提供だけでなく、国別の規制に従い、マーケンのデポ(倉庫)ネットワークや既存のセントラル薬局の範囲内で地域配送や集中型配送をバランス良く活用することが可能です。この状況が進化を続けるなか、マーケンは、変遷する規制の枠組み、業界における需要、臨床試験および患者様ごとのニーズに引き続き対応してまいります。
将来の回復性を備えるために俊敏性を向上
どの臨床試験にも、独自のサプライチェーンとそれにともなう課題があります。製薬企業やバイオテック企業の運営が国内であれ世界規模であれ、前述のとおり、現在の危機が及ぼす影響に対処する回復性は、柔軟なサプライチェーン戦略を実践できるパートナーとの提携から始まります。危機的状況のさなかに重要な配送を行うための素早い決断とソリューションの実行力には、俊敏性が求められます。サプライチェーンの俊敏性は、複数のソリューションに対応できるよう適応された集約型、地域ごと、または倉庫(デポ)ネットワークを備えたDTPの形で発揮することができます。
中断を回避するために、マーケンではまず最初に、DTPサービス、地域ごとの供給・配送、スマートな梱包ソリューションを組み合わせに投資を行い、COVID-19のパンデミック中に臨床試験の実施を後押ししました。また、UPSネットワークや地域の民間配送業者などの代替手段を世界規模で調達し、国内外に関わらず、影響を受けた国々の病院や患者様が、温度管理された重要な医薬品を遅延なく受け取ることを実現させました。
直面する課題に迅速に対処し、それを機会に変えることができる企業は、現在のCOVID-19パンデミック中だけでなく、将来的な危機や潜在的な脅威に対しても、より効率的かつ柔軟に適応することができます。柔軟性の高いマーケンの臨床試験配送戦略と倉庫(デポ)・ロジスティクスネットワークは、現在だけでなく将来にわたり、製薬企業やバイオテック企業が臨床試験の中断を避けることに役立ちます。
参照:
Xue, J, et al. (2020). Clinical trial recovery from COVID-19 disruption. Nature Reviews Drug Discovery 19, 662-663 doi: https://doi.org/10.1038/d41573-020-00150-9
マーケンについて
マーケンはUPSヘルスケア部門の完全子会社です。Polar Speedとマーケンを傘下に持つこのUPSの部門は、世界各地128カ所の拠点に5500名の従業員を擁しています。マーケンは患者様への治験薬直接お届けサービス、ホームヘルスケアサービス、生体試料配送および生物製剤キット生産においてリーダー的地位を維持しながら、臨床試験製品の保管および配送向けに最先端のGMP準拠倉庫(デポ)ネットワークと世界56カ所のロジスティクス拠点を提供しています。1500名を超えるマーケンの専門スタッフが、あらゆる温度範囲にわたる医薬品および生物製剤の配送を220か国以上で管理しており、その数は毎月100,000件に上ります。さらに、付属資材、保管および配送、輸送路の確認といったサービスや、GDP、規制およびコンプライアンスに関するコンサルティングにより、製薬およびロジスティクス産業におけるマーケンの存在は一層ユニークなものとなっています。
お問い合わせ:Christine Noble、Eメール:info@marken.com、 www.www.marken.com
UPSの3社が一体となったことで生み出される力をご体験ください。力を結集するMarken UPS Healthcare Precision Logisticsです。
ログインおよびクイックリンク